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岡田真宏
岡田真宏 作品制作
(2006年)
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私達は「唯識」という先人の遺産を持つ。四、五世紀のインドの学僧、弥勒によって創始 された唯識派の流れを汲み、唐の基を開祖とする法相宗は唯識派とも呼ばれ、長い時をかけて「唯識」を育んできた宗派である。日本には六五三年に玄奘の教え を受けた道昭によって伝えられた、興福寺と薬師寺を大本山とする南都六宗の一つである。眼耳鼻舌身意の六識と末那識と阿頼耶識を立て、一切存在は心の創り 出した仮の姿であり、識より他に事物的存在はないとする。識を高みへと導く道筋を、段階を追って示し、同時にそこへ至る方法論を説く。これは今から遡るこ と千五、六百年前に作られた正に東洋の深層心理学であり、フロイトやアドラーは元よりユングやウィルバーの心理学でさえまだ届かぬ宇宙を有している。この 様な唯識は二十一世紀を生きる重要な羅針盤になると私は思っている。しかしここでもまた私達は自身の持つ知的財産に対する無知と無関心を見る。日本に於い て心理学といえば全て西洋心理学であり、東洋に心理学が、況して深層心理学があることを知る人は少ないといえる。その様な人々がそれを知るのは西洋が発(・)見(・)した時であり、それ までは目の前に在りながら、その存在に気付くことはない。西洋が作った鏡に映ったその姿が彼等の評価を受けた時、始めて自身の持つも のの価値を知る。これは今に始まる ことではなく、曾ては中国という鏡が唯一の価値基準であった時代を歴史に見ることができる。もう私達は己を映す鏡を自らの手で創り出さなければならない時 に来ていると思う。
日本は地理的に文化の吹き寄せる位置にある。古来より印度、中国、朝鮮そして西方や南 方の文物が次次と流入し混交を繰り返してきた。私達の先達はそれを長い時を掛けて昇華してきたのである。その熟成にどれ程の世代が関わり膨大な時が流れた ことか。時代は下り、室町そして江戸期を迎え、初めて雛形のない国造りや文化の萠芽を見ることになる。この時代にそれは百花繚乱の時を迎え、日本人の美意 識や価値観が形となって表れた。それは縄文をルーツとし、幾多の文化の混交を経てやっと花開いた日本の文化であった。しかし私達は文明開化の声と共にいと も簡単にそれらを捨て去ってしまう。八雲が心をあれ程震わせ、それが日本人の心から消えていくことを強く憂えたのは何故だろうか。それは世界に唯一つしか ない日本人の手による宇宙がそこにあったからである。異文化との混交は新しい風を吹き込み、互いの文化の活性化と次なる変化への可能性を育む。それには自 らの文化に対する揺るぎない軸足が不可欠となる。しかし日本の近代化は西洋化することと同義であった。それは文明的後進は文化的後進であるという誤謬に よって益々加速し徹底することとなった。こうしてまたしても雛形を外に求めたのである。
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