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「水の夢・静寂(しじま)」
螺旋(スパイラル)は宇宙を支配する動 きです。
銀河の渦巻きから水の落下に至るまで、その法則に従います。
それは私達の誕生の時にも顕れ、胎児は螺旋を描きながら生まれてきます。
この作品は、そのスパイラルを無限に重ねることで創られました。
赤橙黄緑青藍紫の可視光色を一色ずつ重ねていくと、渾沌とした線の乱舞が密度を増すにつ れ、次第に秩序を形成していきます。
それは正に宇宙創成の時のように、カオスからコスモスを生むのです。
「水の夢・神歌」
縄文は神歌の宝庫です。
火焔土器は私達に多くのことを歌って聞かせます。地の底から突き上げるような雄叫びや、 千変万化する万象に恐れ、楽しみ、そしてそれを受け入れながら、人としての自身の存在を形にしたように思います。
神歌は意識の領域で聴くことはできません。また理詰めによって補捉することもできませ ん。
心を波立たせぬように、静かに錘鉛を沈めてゆくと、意識の領域を突き抜け、光も届かぬ世 界へ降りていきます。
そこが「神歌」と響き合う処です。
「水の夢・朧(おぼろ)」
数 学は「虚数」をその領域に入れたことで、飛躍的に豊かになったと言われます。
こ の世界には、存在とも非存在とも言い難い事象が多く見られます。
こ こ数世紀、私達はそれらを強引に分別してきました。そしてその価値観に合わないものは非合理として捨て去られたのです。しかし私は、この領域こそが全ての舫(もや)いを解かれ、心が浮遊する「場」であると思います。
古(いにしえ)から日本人は、このことを感じ取り、文化の中にそれらが生きる場を創ったのでしょう。 |
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