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岡田真宏
岡田真宏 作品制作
(2006年)
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日本列島は四季の変化の豊かな景観を持つ風土の中にある。私達の先達はその風土と関わ ることで文化を紡いできた。
人は誰もが原風景を持っている。それは意識するか否かに関わらず、私達の心の深層に潜ん でいる。幼き頃、人は皆冒険者であった。出会いの全てが新鮮で未知なるものとの遭遇であった。無垢な心はその一つ一つの出会いを、五感を駆使して自らの内 に取り込もうとする。目を見開き、手に取り匂いを嗅ぎそして舐めてみる。この深き体験は私達を新たな自分へと変えてゆく。出会いの前と後ではまるで違う自 分を実感し、その変化に驚く。見られることによって変わる自然、そして自然によって変えられる私。全ての存在は不動でも絶対でもなく、揺らぎの中にあるこ とを体感する。主体も客体も消え、観察という視点は崩れ全てが参与し合う関係だけが残る。自分という領域は体を包む皮膚を遥かに超え、水の中に樹の中に、 そして土の中に広がってゆく。私を取り巻く外(・)な(・)る(・)世(・)界(・)は心の深部に同化し 一つになる。こうして万象と同調した心と体は、彼我の境も内外(うちそと)の関係も消え去り 「無分別」の世界の住人となる。
しかし私たちはこの素晴しき出会いの感動と自然との一体感を、いつの頃からか忘れてし まったように思う。無機的な時計時間の中で齢(よわい)を重ねることで毎日 は新しき出会いに揺らぐ心を失い、心のときめきに重き蓋を被せて日日を過ごすようになる。今まで輝いていた自分を 取り巻く外界は光を失い暗く澱んだものになってしまう。こうして惰性と無感動の檻に心を閉じ込めた生活を送ることに何の違和感もなくなるのである。これが 心の「老い」である。老いぬ心とは「既知なるもの」に接する時にも、「未知なるもの」との初めての出会いを生きる ことのできる心であろう。人の心は自分ばかりではなく外の世界をも変えてしまう力がある。自身の心を育て、それを正しく認識することは、私達にとって最も重要な課題と言えよ う。
今から約百年前、S・フロイトは精神病理の研究の結果、私達の心の意識下に潜むリビ ドーと超自我という無意識層を発見した。これはそれまでの自我が心であるという認識とは大きく異なるものであった。そして彼は人間の無意識には恐るべき攻 撃性があり、それは理性的な自我を確立し抑制する以外に方法は無いが、その制禦は極めて難しいという結論に達した。またA・アドラーは自らが虚弱児であっ たことから、劣等感の克服(補償・過補償)や社会的関係(共同体感覚)が心の形成に大きく影響することを見出した。そしてC・G・ユングの登場によって心 理学はその領域を飛躍的に広げる。彼はそれまで科学や学術的研究がその対象としなかった神話や超自然的存在、またシャマニズム、神秘体験などの私達の心の 闇に踏み込んだ。そして神や人の存在は、悪や陰を含んで初めて全体となるというところに行き着く。それは「私」を超え、民族を超え、更に人類や生物も超え 無生物までも取り込んだ宇宙へと?がる道であることを予感させた。ユングはそれらの研究の過程で曼荼羅と出会うことになる。今、心理学はトランス・パーソ ナルな世界へ新たな道を歩み始めた。エブラハム・マズローによって創始されたトランス・パーソナル心理学は、東洋の臨済禅やチベット仏教などの宗教的修行 を経験したケン・ウイルバーらによって継承された。この心理学は、人は様様な欠乏欲求を満たした後も自己実現欲求が生まれ、そこに到達しても尚、今度は自 己を超え永遠のものと?がりたいという高次の欲求が生じてくるという。この心理学はそれらの欲求を肯定的に捉え、欲求を満たすことによって人は成長すると いう立場を取る。ここまでくると心理学は、宗教的要素を濃厚に持つようになってくる。ウイルバーのトランス・パーソナル心理学は、個人的無意識の下層に過 去の集合的無意識があり、更にその下部に超個的無意識層があるとする。これは大乗仏教の「空」の意味する全ての事物は縁起によって成り立っており、不変な ものは何一つないとする「自性空なる故に、存在は縁起による」という教義に限りなく近い。フロイトに始まる欧米の深層心理学は、アドラーやユングを経てマ ズローに、そしてウイルバーへと進化してきた。私達は自らの心を解明するために、彼等の足跡を長い間追い続けてきた。その流れは過去の一時期の現象ではな く今に繋がる。
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