個展に寄せる言葉    原 博史   
                         
                         
                         9年間和紙と墨の表現の可能性を追求してきた。動機は、制作者と素材との関係を見つめ直すこと、素材の持つ美を感じ取り大切にすること、その為にミニマルな表現を心がけること以上3点を特に気にしながらの表現活動であった。十分なものであったとは思えないがさらに進化させる為の模索として今回、油彩絵の具、キャンバス表現との対比を試みて素の美をもう少し深めて感じ取ろうと試みた。 
                         
                         制作に際してイメージを排して行為自体を重視しようと考えていたがいつからか自然現象に則したタイトルをつけるようになった。実際制作においては、具体的にイメージすることなく抽象的な感性で感じとる自然観である。そこには光の現象も含まれる。 
                         
                         観念的な光である。「明」と「暗」、「生」と「死」、「光」「闇」などが感じられるが画面を2つにわけ両者を隔てるのではなく境目を曖昧にしたグラデーションを多用し二元論的にならず一体として表現した。こうした点は継続しながらも表現素材を対比させることで新たな展開が生まれると信じている。 
                          
                                                          2014-01 個展 <美術家の文章>   
                         
                       
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