彼は画家とミュージッシャンの「2足のワラジ」を履くアーティストです。高校および芸大時代から音の世界の虜になり、大学院中退後ロックバンド「フリクション」のギタリストを手始めにプロのミュージッシャンとして活躍。そして7年後、恩師の芸大教授・田口安男氏に糸を引かれるように絵の世界に戻り、その後個展を中心に「百物語」などの作品を発表し、98年には映画「白痴」の仕事(絵画)をするなど、音と絵の世界を両立させながら彼独特の世界を築いています。
「生まれながらの持ち物だけで歩き出してしまった作家にとって、目の敵にするものは自分自身である」‥‥‥恩師田口安男氏が92年恒松正敏展のカタログに寄せた紹介文の一節ですが、その冒頭では彼の卒業制作が「大人の絵だった」と評しています。つまり「恒松の絵はアカデミックな絵画の描き方ではなく、生まれながらの才能だけで描かれているが、プロとして通用する絵になっている。だからこそ、自分の才能こそが推進力の源である、と同時に強力なブレーキにもなりえる」と。
このように評された恒松の真骨頂は88年から7年間費やして制作された「百物語」(百枚のシリーズ作品)に結実しています。「芸大に行って皆と一緒に大きいキャンバスを並べて描いていても‥‥‥自分のなかに必然性がなにもない‥‥。」とある雑誌のインタビューで応えているように、自分の感性に忠実に従って活動してきた一つの到達点です。しかもその出発点には「例えば音楽だって同じだと思うんだけど、‥‥‥日本語でやってるから日本のロックになるかという問題もある‥‥‥ほんとの意味の、日本人の表現てのをやってかなきゃいけない‥‥‥」という心の奥底から湧き出してくる熱い想いがありました。
今回のあーとらんどギャラリーでは、油彩、テンペラ、ドローイングなど約30点を出品致します。ご高覧頂きますようご案内申し上げます。
尚、初日のオープニングの集い、および期間中の5月10日に恒松正敏アコースティックライブを開催します。多数の皆様と楽しい時間を過ごしたいと思いますので、お気軽にご参加いただきますようご案内申し上げます。
■オープニングの集い
日 時 : 4月26日(土) 17:00〜
会 場 : あーとらんどギャラリー
参加費用: 無 料
■恒松正敏アコースティックライブ
日 時 : 5月10日(土) 開場18:30 開演19:00
会 場 : あーとらんどギャラリー
出 演 : 恒松正敏GROUP