■ 略 歴 1967年大阪府生まれ。大学卒業後、彫金技術を習得し 1990年NYに遊学。帰国後オリジナルアクセサリーブランド「Bamboo Magic」を設立。東京、大阪の有名デパート、小売店にて販売。 その後、オブジェ製作を加え個展活動、店舗空間デザインなど幅広く活躍する。1998年、カルチエ全国10店舗の夏期デイスプレイ製作を機に、店舗照明、装飾など数多くの店舗に携わる。 同時に個展活動も開始。以降、東京、大阪、NYなど全国で活動する。 2006年より各地のアートイベントに積極的に参加。工芸、アートの両方の要素を持つ独自の展示活動をし、2012年には瀬戸内私立美術館、2013年には奈義町現代美術館で個展を開催。 以上
<美術家の文章> 「Melting Pint」 細見博子 商業的な意味あいの強い(つまり支持されるという意味で販売を大事な目的とする)アクセサリー作りからスタートした私の「創作」は、約20年の月日を経て、出会いと発見、挑戦と失敗の山を越えながら、約10年前に現在の地点に降り立った。 その降り立った地点は、工芸とアートの丁度真ん中で、前向きに言えば、どちらも行き来できるような立ち位置。それがゆえ活動の幅は広い(はずな)ので、出来るだけ多くの活動を通して自分の作品が、より多くの人と出合える場をつくっていきたい、と常々願っている。 作品の要であるところの、金属とガラスを融合させてオブジェを制作する技術は、すべて独学で完成した。今は、もう一度その初心というか出発点に戻って、それらの素材の性質や特性を見つめ直し、新しい表現を探そうと、心が動き出した感じである。 「溶ける、溶かす」ことは、わたしが使用している錫合金とガラスという源(素材)に共通する、作業の根源的一場面である。錫特有の粘り気のある溶け具合が、「まるで生きているような」と感じるオブジェの質感を生みだし、溶けたガラスが高温の柔らかな、その一瞬のうちに成形して出来るカタチが、それに同調し、よりいっそう印象づけていくのだと思います。 一見異素材の2つを組み合わせるがごとく、多くのオブジェでは、普通では混ざり合わない(本来セットではない)生き物たちが混ざり合い、新しい世界を表します。 溶けて無くなっていく自然界の生き物、溶けているところから生まれてくる生き物…。無くなったり生まれてきたり、と「輪廻」を繰り返すように新しい世界観が生まれれば、と思います。 以上