高橋 章 展「神樹」
会期/2010年 4月4日(日)〜 18日(日)
10:00am〜6:30pm 休廊:4/7(水),14(水)
会場/あーとらんど ギャラリー
出品/写真‥‥20余点
あーとらんど ギャラリーでは、企業・官庁の写真制作や美術家の作品撮影で独自の世界を
展開しながら、近年「樹」の生命力をテーマに個展活動を展開している丸亀市在住の写真家、
高橋 章の写真の展覧会を開催します。今展は2003年に引き続き2回目となります。
高橋は、1950年に兵庫県に生まれ、現在丸亀を拠点に活動しています。彼は高校時代に自画像シリーズの冊子を自費出版、その後大阪のデザイン事務所で写真スタジオの助手になり、
1971年フォトスを創立した写真家・新居義久に請われて丸亀に転居。30代半ばを過ぎて頭角を現し、絵画・彫刻・工芸品などの公私にわたる美術館の収蔵品や、中川幸夫、イサム・ノグ
チ、猪熊弦一郎などの美術家の作品撮影の、県内での第一人者として名を馳せます。
「商業写真の延長上に、自分の写真の基礎がある」という高橋の写真は、その気になって見
るとどこか意表を突かれたような気分になる。商業写真はプレゼンテーションを目的としているのでメッセージが強調されるはず。だが、彼の今展の出品写真は物静かで、メッセージも控えめで、技巧も少ない。能の動きのように全てを削り、鑑賞者の心の中で再生されることをひ
たすら待つ写真なのだ。
では、商業写真の何が「自分の写真の基礎」になっているというのだろうか。それは高橋の目である。写真は光の芸術、彫刻だといわれる。彼の得意とする作品撮影は、制作者が手によ
って作品の形・姿を創り上げるように、彼は光によって作品の形・姿を、レンズを通して印画
紙に描く。彼の目が、カメラのアングルで作品を再制作するのである。一瞬にしてその作品を
光の作品に変えてしまうのだ。これこそが、彼の作品撮影が驚くほど素早いといわれる所以で
あり、彼独自の世界なのである。
今回の展覧会では、香川県内で撮影した「神樹」の写真20余点を出品致します。高橋は
「樹」を通して「讃岐の風景」という自然の在り様を、時間の変化、色の変化、多重露光、絵
画的な風景の4グループに分けて展開しています。
「時間の変化」では桜の花弁が川面を流れていく変化、「色の変化」では夾竹桃が徐々に花を
結ぶ変化を実写しています。「多重露光」では同じ樹を1枚の写真にアングルを変えて撮り重
ね、「絵画的な風景」では様々な樹の美しい佇まいを撮っています。
高橋は今回の個展で「神樹」に寄せる想いを次のように書いています。
「香川県の風景を見ながら40年近くなる。前回「樹」の個展後も自然の風景は、少しずつ失われている。この讃岐の風景の中で樹々たちは、何事も無い様な年月をおくっている。
芽が吹き、花が咲き緑の葉を蓄え、紅葉し、やがて、冬木となる。それらの樹々は、特別な存在ではない。
そしてその営みが、自分自身の生き方を支えてくれる「精神」であると思う。その思いで今回の個展「神樹」を発表します。(註1)」
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是非多くの方にご高覧いただきますようご案内申し上げます。
敬具
註1:高橋 章 2010
(文責:山下高志)
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