出店久夫 展
会期/2010年 2月7日(日)〜 2月21日(日)
10:00am〜6:30pm 休廊:2/10(水),17(水)
会場/あーとらんど ギャラリー
出品/ミニアチュール作品を中心に
30号までの作品‥‥‥ 80 余点
あーとらんど ギャラリーでは、独自開発の写真の技法を使った表現で
活躍
している
福井県出身の美術家、出店久夫さんの個展を2010年2月7
日 (日)か
ら2月21日(日)に開
催致します。`97年の初個展で、作家の心
の中で生まれて
きた風景をテーマにした一連
の作品「私風景」を紹介し
て以来8年ぶりの個展
になります。今回は、ミニアチュール
作品を中心
に30号までの作品を80余点
展示致します。
出店さんは当初、油絵を制作していましたが、`85年からモノクロ写真を切り
貼りで
組み合わせ写真染料で着彩する作品を、主に国内での個展や
グループ展
等
で発表し、公
募展でも多くの賞を受賞しています。中でも新
しい美術の創造
を競うエンバ美術賞展
(エンバ中国近代美術館)では`90年
に大賞、現代日本
美術展(東京都美術館、他)で
は2000年に毎日現代美術
準大賞(平面部門)を
受賞し、2007年には、現在絵画部門
では国内トップ
クラスの公募展である小磯
良平大賞展で賞候補にも上っています。
今回出品されるミニチュアール作品には、前回の「私風景」には無かった
2つの表現
の変化が見られます。一つは、デザイン的な表現から絵画的な表
現への変化、もう一つ
は、写真と立体が結びついた作品への変化です。この
変化は、今展の案内状に掲載して
いる最新作「涸れる湖」(ダイレクトプリ
ント、手彩色 28×38cm 2009)でも確認
できます。
「涸れる湖」の写真の方では、これまでに見られる家紋等のような、上下
左右の鏡像
になった人体やロボット、丸い球体などの風景の上部に、更に、
上下の鏡像になった人
体や器物等が組み込まれることによって、外観的には
異次元の風景画のような表現に変
化しています。一方、写真を囲む白い空間
には、今回初めて、これまで写真の中に存在
していたような食玩、小石、コ
イン、ガラス玉、招き猫、ビーズなどが置かれています。
しかもこれらが写
真の飾りではなく作品の構成要素となっているのは、意図的に写真と
重なる
ように配置された左右下方の2個の食玩が、他のモノと緊密な連携を保って写
真
と一体化しているからに他なりません。
このような作品の表現方法とそ
れを採用している理由、更には最近作の表現内容の特
徴やその狙いを、作家自
身の言葉で解説していただきましたので、以下に紹介します。
私の表現方法と表現内容(文:出店久夫)
私の作品は、1985年以来、変わる事なくモノクロ写真を切り抜き貼っての
コラー
ジュ画を作り、それを原図としてネガ撮りする折にレンズの前にガラ
ス玉を置き、その中に映るブレ流れの入った画像を撮影する方法にて制作され
続けております。それら使用する写真は、すべて自写真、自プリントにて、最
後の彩色完成までの工程は家内工業的手技です。
今ではデジタル化が進み、どの様な表現もコンピューターにて出来るのです
が、私はデジタルのツルツル・ピカピカにはついて行けません。アナログ銀粒
子のツプツブ,ザラザラの物質感に心は同調するからです。撮影や暗室作業を
へての繰り返しの手作
業によって、頭脳は動き閃いてもくるからです,
21世紀に入り、ますます混迷を探める時代を生きる私は、シュールを内包し
てのポップアートを目指して、昨年より0号〜3号大の箱物ミニアチュール作品
を実験的に制作しております。
写真画面中に、取るに足らぬ様な小石・ビーズ・ガラス玉などと共に、菓子箱
の中に入っている食玩具の人形達もアッサンブラージュいたしておりますのは、
大衆性の有る人形達を使うことにより、私的な作品画面に社会性を持たらしめ、
そのアンバランスなギャップのおかしみを楽しんでいただこうとの思いからです。 (以上)
是非多くの方にご高覧いただきますようご案内申し上げます。
敬具
(文責:山下高志)
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