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亀井洋一郎 展 〜錐体のスクリーン〜   プレスリリース(2009)



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■ 亀井洋一郎(かめいよういちろう) 略歴

 1974 香川県に生まれる
 1997 大阪芸術大学 芸術学部 工芸学科 陶芸専攻 卒業
 1999 大阪芸術大学 大学院 芸術制作研究科 修了
 2006 京都市立芸術大学 大学院 美術研究科 博士(後期)課程
     修了 博士号 (美術) 取得 博士論文「光の受容器」

《個展》
 1998 ギャラリーマロニエ(京都)
 1999 「磁土 フレームとチューブの構成」
    INAXガレリアセラミカ新宿、札幌(東京、北海道)
     玉川高島屋テラスギャラリー(東京)
 2003 「磁土の幾何学」世界のタイル博物館(愛知) 
 2006 「Lattice Receptacle」
     アートコートギャラリー(大阪)
 2008 「光の受容器、影の受容器」
     SILVER SHELL京橋(東京)

《主なグループ展》
 1997 「第2回 出石磁器トリエンナーレ」
     伊藤美術館(兵庫)、京阪百貨店守口店(大阪)
 1998 「第36回 朝日陶芸展」
     丸栄スカイル(名古屋)他5ヵ所巡回
 2000 「ガレリアセラミカの作家による器・オブジェ・
     小さな道具展」
    INAXガレリアセラミカ新宿、札幌(東京、北海道)
 2001 「第39回 朝日陶芸展」丸栄スカイル(名古屋)
     他5ヵ所巡回
    「和洋喫茶去考展」近鉄百貨店阿倍野店
     アートギャラリー(大阪)
 2002 「第6回 国際陶磁器展美濃」
     セラミックパークMINO(岐阜)
    「格子の室礼展」銀座三越(東京)   
 2004 「ニューヨーク セラミックス フェア」
     国立デザイン アカデミー
     (アメリカ ニューヨーク)
    「第1回 台湾国際陶芸ビエンナーレ」
     台北縣立鶯歌陶磁博物館(台湾 台北)
 2005 「やきもの新感覚シリーズ特別展 土と炎の魅力と魔力      50のOBJECTS」中部国際空港セントレア
     ギャラリー(愛知)
    「ガレリアセラミカ・110展」
     世界のタイル博物館(愛知)
 2006 「現代の陶芸 走泥社を中心に」
     高松市美術館 常設展示室(香川)
 2007 「SOFA ニューヨーク2007」
    セヴンス レジメント アーモリー
    (アメリカ ニューヨーク)
    「collection�T 立体をめぐる4つの部屋」
     高松市美術館(香川)
 2008 「常設展 世界の現代陶芸」愛知県陶磁資料館(愛知)
    「第7回 益子陶芸展」益子陶芸美術館(栃木)
 2009 「第20回 日本陶芸展」
    大丸ミュージアム・東京(東京)他2ヶ所巡回
    「第5回 京畿道世界陶磁ビエンナーレ」
    利州世界陶磁センター(韓国 利州)
    「表象としての陶/磁/器」多治見市文化工房
    ギャラリーヴォイス (岐阜)
     「第56回 ファエンツァ国際陶芸展」 
    ファエンツァ国際陶芸美術館
    (イタリア ファエンツァ)
    「CAMARD & ASSOCIES 現代日本の創造」
    オテル・ドゥルオ(フランス パリ)

《受賞》
 2001 第39回 朝日陶芸展 グランプリ
 2004 第1回 台湾国際陶芸ビエンナーレ 優秀賞

《主な作品収蔵》
 世界のタイル博物館/ロイヤルアーク香櫨園/京都銀行
 台北縣立鶯歌陶磁博物館/高松市美術館
 ファエンツァ国際陶芸美術館
 利州世界陶磁センター/愛知県陶磁資料館(寄託)
                         以上

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        亀井洋一郎 展 〜錐体のスクリーン〜
         
    会期/2009年 9月1日(火)〜 9月13日(日)
       11:00am〜7:00pm 休廊:9/2(水),9(水)
    会場/あーとらんど ギャラリー 
    出品/ラティス レセプタクル シリーズ作品、小作品‥ 10 余点

 あーとらんどギャラリーでは、亀井洋一郎さんの陶芸の展覧会を開催致しま
す。亀井さんは1974年に香川県に生まれ、現在大阪を拠点に活動しています。

 亀井さんの作品は、2001年に開催された第39回朝日陶芸展のグランプリ受
賞を伝える新聞記事で初めて知った。その受賞作品が「オブジェ」か、それと
も「用のもの」か、外見からは判断がつかない。「Lattice receptacle」とい
う作品タイトル(ラティス レセプタクル)からすれば「うつわ」である。しか
し、磁土で作られたこの「白い構造物」が何故「うつわ」なのか、この疑問は
解けなかった。

 翌年気になっていた朝日陶芸展カタログを取り寄せ、改めて鮮明な作品写真
を見た。添えられた「格子構造による器物的造形表現」という制作意図から、
この青白磁のやきものが制作者の概念では確かに「うつわ」に他ならなかった。
しかし、一般的な意味での「うつわ」ではないし、抽象的な意味での能力など
の大きさを表す訳でも無さそうだ。果たして亀井さんの定義する「うつわ」と
は何か、彼が発表している論文から引用してみる。

  私が考える「うつわ」とは、「内」「外」を何らかの境界によって分ける
  ことで生まれる「内部の空間」、すなわち「中空性」にどのような「用」
  を供するかということが重要である。そのように「うつわ」を、物理的、
  精神的にかかわらず何らかのエネルギーを外部から「受容」し、内部の空
  間を介して再び外部に「放射」する存在と捉えたとき、それは器物として
  の役割や形態にかかわらず「うつわ」の概念を拡張するものとして、新た
  な造形性への「発想の起点」になり得るのではないだろうか。(註1)

 亀井さんが導き出した「うつわ」の概念は、格子という意味のlattice(ラテ
ィス)と容器という意味のreceptacle(レセプタクル)を組合わせた彼自身の
造語「Lattice receputacle」(格子構造の器物)に余すところなく結晶化され
ている。「やきもの」と「うつわ」の関係性の思索から始まった彼自身の造形
表現について、これまでの展開と現在の着地点の概要を寄稿していただきまし
たので以下に紹介します。

       「錐体のスクリーン」 (文:亀井洋一郎)

  今回、あーとらんどギャラリーで開催する個展では、私が2001年より取
 り組んでいるLattice receptacle(ラティス レセプタクル)シリーズの作品
 を展示致します。
  淡い青白磁調の格子体を基本形とする本シリーズは、鋳込み技法の量産性
 を応用した中空の同一単位(一辺5cmの立方体)の集積によって成り立ち
 ます。このような造形のシステムは、長い伝統の中でやきものを内面から支
 えてきた技法や工程、及びそれらに添うように存在する構造性や空間性に、
 自分なりの視点から築いた理論を重ね合わせることで導いたものですが、近
 年は磁器素材や釉薬の材質感と光の作用との密接な関係性を契機に、作品内
 部へもたらされる陰影の様相に意識をおいてその可能性を模索してきました。
  今展で展示予定の作品も、Lattice receptacleの造形システムを基軸にそ
 れぞれの制作をおこないましたが、その形態はこれまでと同様に立方体を基
 本単位としながら、次第に三角形や錐体という形へ移行してきています。こ
 のような展開は作品の表面的な外形の変化から試みたのではなく、自作のシ
 ステムを起点にして生まれる内形の変化へのアプローチと、それに伴い変化
 する光の表情への意識から導き出されたものです。
  展覧会タイトルである「錐体のスクリーン」の“スクリーン”とは、展示作
 品をある視点から見ると作品内部にスクリーン状の面(間仕切り状の白い幕)
 と淡い陰影の諧調が出現することを指しています。これらは作品の内形と光
 との視覚的効果によるものですが、こうした私の表現は、自身の造形感覚と
 陶磁器の中空構造とが交わることによって発見し得たものだといえます。 
                               (以上)

 今回の展覧会では、新作を含む3点のラティス レセプタクル シリーズの大作
を中心に、小作品を含めて10余点出品致します。古墳時代の「形象埴輪」が、
くり貫かれた目や口から「たましい」を静かに抜き取った後の「たましいのう
つわ」(註2)だと看破する亀井さんの深い洞察力と卓越した造形感覚に裏付けら
れた作品に対して、皆様の率直なご批評をお願いしたいというのが作家のみな
らず主催者のお願いでもあります。是非ご高覧頂きますようご案内申し上げま
す。
                                敬具

 註:(1) 亀井洋一郎「光の受容器」18-19頁 平成17年度 京都市立芸術大学
       審査学位論文等(博士)
   (2) 亀井洋一郎「光の受容器」16-17頁 平成17年度 京都市立芸術大学
       審査学位論文等(博士)

                          (文責:山下高志)

 



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