田淵太郎 展
会期/2009年 4月2日(木)〜 4月14日(火)
11:00am〜7:00pm 休廊:4/8(水)
会場/あーとらんど ギャラリー
出品/食器、花器、オブジェ 等 ‥‥‥ 約 50 点
あーとらんどギャラリーでは、田淵太郎さんの焼き物の展覧会を開催致しま
す。田淵さんは1977年に香川県に生まれ、現在高松を拠点に活動しています。
田淵さんの作品に初めて出会ったのは4〜5年前でした。「Landscape」と
名付けられたその作品は、発想がとても面白い作品で、手元にある個展案内リ
ーフ INAX CERAMICA NOTE No.106 に収録されています。現代の最先端
の作品を紹介するスペースとして知られていたINAXガレリアセラミカ新宿で、
2004年11月に開催された田淵太郎展の出品作品を、香川で目にすることがで
きたのは幸運でした。
それは、白い薄作りの磁器容器に陶土の固まりを詰めて焼き上げた作品で、薪の炎を吸収して膨張した土の塊が白い容器を無理矢理押し広げたのでしょう、薄い容器がひび割れて焼き固まっているにもかかわらず、今にも解体してしまいそうな危うげな姿を見せていました。田淵さんはこの作品制作の動機を次のように話しています。
「大学の時に自由制作でつくっていた作品というのが、粕薬や粘土のかたま
りが、焼く事によって変化する、釉薬は溶けて、土の塊は割れてくるというも
のだったんです。その時なりのコンセプトはあったのですが、それでも大きな
コンセプトはないままに、無意識にやっていたんです。それでずっと悩んでい
て、火山を見た時にそれが繋がってきたんです。(註1)」
田淵さんはこの作品で、2003年朝日現代クラフト展で優秀賞を受賞していま
す。「暮らしのカタチに—豊かな夢を」をテーマにしている公募展だけあって、
これまで一度も目にしたことも無いような作品が受賞の対象になっているよう
です。 INAXの個展案内リーフには、作家のインタビューが掲載されています
が、そのエッセンスのような文章を今回の個展のために寄稿していただきまし
たので、以下に紹介します。
「自然体」 (文:田淵太郎)
人に、なんで陶芸の道にすすんだのか?とよく聞かれる
「うーん、何ででしょうね。。」
当然 聞いた方は困る
だが聞かれた方も困る
数年前 ハワイのキラウエア火山を訪れた
地球の持つエネルギー、そのスケールの大きさに驚き感動した
ただただ「スゲ‐!」と
地球の鼓動さえも聞こえるようだった
また、目に見えるすべてのものが”やきもの”のようにも見えた
それらの感覚が今でも心に残る。
陶芸には1300℃という炎の力がある
自分の手から離れ、イメージや想像をはるかに超えた形が生まれる
すべて計算されたようなものづくりはしたくないし出来ない
あの時憶えた感覚 それをもう一度自分の作る”やきもの”を通して
味わいたい
近道のないこの道を ただまっすぐ進むのだ
人を感動させるためではなく、自分が感動するために
好奇心のまま自然体で。 (以上)
今回の展覧会では、食器、花器、オブジェ 等を約50点出品致します。
「表現を持った器、オブジェをこれからも追い求めて行きたい…。器を見た
時に、オブジェを見た時に感じるような表現をしたい…。(註2)」という田淵
さん。是非彼の作品を体験していただきますようご案内申し上げます。
敬具
(註)
1. 株式会社INAX 制作発行のINAX CERAMICA NOTE No.106 田淵太郎展
に収録されているインタビューより抜粋
2. 同上
以上
(文責:山下高志)
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