会期/2008年 3月16日(木)〜 3月30日(木)
11:00am〜7:00pm 休廊:3/19(水),26(水)
会場/あーとらんど ギャラリー
出品/絵画。銅版画、ガラス絵‥‥ 約25点
あーとらんど ギャラリーでは、林 孝彦さんの展覧会を開催致します。林さ
んは1961年に岐阜県で生まれ、現在東京を拠点に活動しています。
林さんは版画家として出発され、銅版画による抽象画と並行してドローイング
を発表、その後ペインティングやガラス絵も手掛け活発な表現活動を続けられて
います。今回の個展は、95、98、2000、2003年に続く5回目の展覧会になり
ますので、2004年以降の活動状況について書いていただいたテキストを以下に
紹介致します。
「個展に寄せて」 (文:林 孝彦)
92年を最後にヨーロッパ中心の海外発表活動をやめ、10年間国内中心に絞っ
て続けていた発表活動を2002年から海外向けにも再開。その再開時期が前回の
個展となります。
今回の個展は、この6年間、アメリカでの活動を中心に11回の個展、数多く
のグループ展やアートフェアーへの出品と、海外発表をこなしてきた経験をふま
えての、今後の発表活動へ向けた新しい展望をお見せすることが出来ればと考え
ています。
版画作品の海外での評価は日本では考えられぬほど高いものであったとしても、
残念ながら国内では悲しいほどの評価しかいただけません。刺激的な表現の持つ
強さが、表現の強さとは同じではないのですが、版画のような紙に刷り取られた
ものの持つ持ち味が、この国の今の流行の中ではどうしても埋没してしまいます。
そういった刺激偏重の流れの中にあっても、消え去ることなく生きながらえる
表現の有りようの模索が伝わってくれることを願っています。
今回は、紙や生地、皮、ガラスなど様々な素材と版画、コラージュ、ペインテ
ィングといった技法を駆使して動きのある抽象形態を、つややかに、あるいは、
荒々しくと、描き出しています。日本がその長い歴史の中で培ってきた抽象的造
形は、卓越した素材に対する感覚の繊細さと相まって、時を超えたモダンさを持
っています。そういったものたちが、制作の足がかりです。
経済至上主義、利益率で計ることの出来ない豊かなモダンさを感じていただけ
るひとつの機会になることが作家の望みです。 (以上)
今回の展覧会では、ドローイングやペインティング等の絵画とガラス絵を中心
にし、2004年以降に制作された銅版画も加えて、約25点出品致します。是非林
さんの新たな展開を楽しんでいただきますようご案内申し上げます。
敬具
〈美術ノート〉「林さんとトーク」
■ 日 時 : 3月16日(日) 午後2時 〜
■ 会 場 : あーとらんど ギャラリー
トークの切っ掛けは、『うち捨てられぬものたちの系譜・「円空さん」との出会い』から。以下は、林 孝彦さんによるテキストです。
芸術という概念は日本の近代化とともにもたらされたものです。しかし、当然、それ以前にも美術の歴史はありました。ですから、それは西洋史観とは異なる面が多分にあります。円空仏や木喰仏、浮世絵など庶民の中に根づく願いや思いのかたちは権力者の庇護や時代の変遷を超えて、うち捨てられ
ることなく残されてきました。
私が制作を続けていく上で心の支えとなっているもの達の多くは実は、美術を志す以前からのそんなもの達との出会いなのだと思います。うち捨てられぬもの達との出会いをお話しできたらと思います。 以上
(文責:山下高志)