会期/2008年 1月13日(日)〜 1月27日(日)
11:00am〜7:00pm 休廊:1/16(水),23(水)
会場/あーとらんど ギャラリー
出品/テンペラ画、ペーパースクリーン版画‥‥ 約20点
あーとらんど ギャラリーでは、須永高広さんの展覧会を開催致します。須永
さんは、1960年に埼玉県に生まれ、現在東京を拠点に活動しています。
須永さんは版画家として出発され、ペーパースクリーン技法による抽象画を発
表されてきましたが、その後ドローイングにも手を拡げ、2004年からは新たに
テンペラ画を中心に制作されています。今年に入って当初のペーパースクリーン
版画を再開されましたので、今回の個展用に作品の制作技法について書いていただいたテキストを以下に紹介致します。
「私の制作技法」 (文:須永高広)
私の描くテンペラ画は、卵テンペラというもので、西洋絵画の歴史ではずいぶ ん古い技法です。だからと言って、歴史的な意味を知るためとか、ましてや古典
的な作品を描くために試みているという訳ではありません。卵テンペラの持つ絵
肌が好きなのです。油絵の具では、そこのところがうまくいきません。宝石のよ
うな油絵の具の輝きとか、不透明色の物理的な絵の具の塊などではなくて、陽を
浴びて乾燥したような画面と言いましょうか、ついでに陽光の匂いまでしたらい
いのですが、テンペラ画ではそんなふうにできたらいいな、と思っています。
版画は、和紙の原紙を利用するペーパースクリーンという技法と蝋原紙とヤス
リを使ったミメオグラフと呼ばれている技法とで制作しています。版形式でいう
と孔版になります。この技法を独学で始めてから、もう14年になりますが、最
近数年間は、本格的な版画制作からは遠ざかっていました。‘94年にこの技法に
よる作品を発表した後、6年ほど夢中になって制作しましたが、今振り返るとそ
の間に、技法に対する新鮮な喜びは徐々に失われていったと思います。
私にとっては、技法との関係は大切な動機です。技法との心ときめくような恋愛感情がすべてのような気がします。
(以上)
今回の展覧会では、2004年から発表されているテンペラ画を中心に展示し、
今年から再開されたペーパースクリーン版画を加えて20余点出品致します。
テンペラ画の技法との深い交わりの中から引き出される表現がどのように展開
されているのか、是非会場に足を運んでいただきますようご案内申し上げます。
敬具
〈美術ノート〉「須永さんとトーク」
■ 日 時 : 1月13日(日) 午後2時 〜
■ 会 場 : あーとらんど ギャラリー
トークの切っ掛けは「謄写版版画の技法と表現の
歴史」から。
以上
(文責:山下高志)