会期/2007年 11月3日(土)〜 18日(日)
11:00am〜7:00pm 休廊:11/7(水),14(水)
会場/あーとらんど ギャラリー
出品/油彩画‥‥ 約30点
あーとらんど ギャラリーでは、関 正和さんの新作油彩画の展覧会を開催致
します。関さんは、1933年に丸亀に生まれ、現在東京を拠点に活動しています。
関さんは半抽象の油彩画家として知られていますが、水彩画、パステル画、ペ
ン画などのドローイングも手がけています。絵のモチーフには室内の静物、自然
や都市の風景、事物など様々な素材が使われますが、一旦作画の過程に入ると素
材の形や色は全て、絵画空間を構成する記号や意味へと変換されます。すなわち、
素材が本来持っていた現実世界の名称や形態が剥ぎ取られ、或るものは純粋な線
に、また或るものは意味を持たない形や色へと変換され、それらの集積が絵画と
してのリアルな造形空間を産み出す‥‥‥これが関さんの半抽象という作画方法
です。
ここ数年、関さんの半抽象画にこれまでに見られなかった変化が起こっている
ようです。今回の案内状の絵がその一例です。絵の外観からするとその変化は一
目で見分けがつきますが、作画の意図はどのようなものなのでしょうか?今回の
個展に寄せていただいた文章にその一端を垣間みられるようです。
「軽くて見よい作品、重苦しい作品」
(文:関 正和)
美術団体展、おびただしい数の作品に接しますが、おおむね、男性の作品は力
の入ったいわゆる頑張ったものが多くその為か、作品が重くなったりして見る方
が肩が凝ってしまうことがあります。そこへいくと、女性の作品は軽くて小気味
の効いたものが多く、いかにもポエジーにあふれたものに見えて、従って、評価
も高くなる傾向にあるようです。
これは、文学の世界でもいえるのではないでしょうか。受賞の対象に女性の作
品が多いのもうなずけるような気がするのですが。
10年ばかり前までは、自然からのみ作画していましたが範囲を広げて、あらゆ
る事物やオブジェをモチーフにしています。この場合、自然からだと不可能に近
いことがすでに、ある程度造形化された状態で感じるのです。ですから、楽とい
えば楽ですし、従って、作品は重くならず見よくなります。しかし、果たしてこ
れでいいのかという不安もあります。
前述の、軽くて見よいものと、重苦しいものの問題になってきます。
それでも我慢して自然からのものを苦しみ抜いてやるのがいいのか、もっと、
自由にあらゆるものを要素として採り入れて作画する方がいいのか、むつかしい
問題です。
そして、こういう意識も時代というものが大きく拘っていることは否めません。
(以上)
今回の展覧会では、小品から30号までの新作の油彩画を約30点出品致します。
時代と対峙する関さんの意欲的な境地。そこに何が展開されているのか、是非個
展を鑑賞していただき、作家とともに時代を考えて行きたいと考えています。
敬具
(文責:山下高志)