会期/2007年 9月16日(日)〜 30日(日)
11:00am〜7:00pm 休廊:9/19(水),26(水)
会場/あーとらんど ギャラリー
出品/レーザープリントによる切手作品、
ポストカード‥‥ 40余点
あーとらんど ギャラリーでは、太田三郎さんの切手シリーズ作品の展覧会を開催致します。太田さんは、山形県に生まれ、現在津山(岡山県)を拠点に活動しています。
太田さんは、郵便制度や切手を利用したアーティストとして知られています。80年に初個展を開催、84年から切手を使った作品で自らの出発点を確立し87年からその後の中心的な仕事となるオリジナル切手の制作を開始しています。90年代に入ると、植物の種子を切手にパッキングするプロジェクトを立ち上げ、以後、戦争、中国残留孤児、原爆など、より社会性の強い領域にまで活動の幅を拡げています。
今回の個展は、90年代に東京の画廊で開催されていたシードプロジェクトとの衝撃的な出会いが切っ掛けで、いつかは縁があればと思い続けてきた結果として、今回の展覧会が実現しました。9月の開催ということで、太田さんが選ばれた出品作品について、その想いを綴っていただきましたので、以下に紹介致します。
「SEPTEMBERー未ダ熟サズ」
(文章:太田三郎)
冬が近づくにつれてさまざまな木の実が色づき、にわかに
存在を主張し始めるが、秋口は緑色で葉陰に身を潜めている。
ナンテンやサネカズラの果実を、まだ熟さぬうちから手に取
る人は少ないだろう。それらは堅くて不味くて、小鳥に見向
きもされない。そのような未熟な果実を採集して切手に仕立
ててみた。成熟した果実を予想させつつも、ひ弱で危なげな
印象がある。それは人間の世界にも通じそうだ。大人になる
には時間がかかる。腐らないよう、悪い虫に喰われぬよう用
心もしなければならない。個展の会期は同じ9月である。画
廊からの帰り道、街路樹や庭木にぜひ目をやっていただきた
いものだ。
(以上)
今回の展覧会では秋をテーマに、レーザープリントによる切手作品として「SEPTEMBERー未ダ熟サズ」,「妻有のみのり」および「惜秋」シリーズを中心にして、「木の葉のポストカード」を加えたインスタレーションとして展示する予定です。
太田さんは85年7月5日から毎日最寄りの郵便局に出かけてその日の消印を押してもらうというプロジェクトを、今日も尚継続されています。彼の作品を前にした観者は、彼の「強靭な意思力」が産み出す記憶の連鎖によって、自らの中に眠っているかも知れない、「何者か」に触れるのを感じるのではないでしょうか?是非一度その「何者か」に触れてみませんか、ご案内申し上げます。
敬具
(文責:山下高志)