『Elementー回廊を逃れてゆくアポロニオスの円』
北川健次版画集 刊行記念
色彩銅版画 8点組 タトゥ入り 他にタイトル、詩、各1点
銅版画 38×28.5cm 2007 日本語版 Ed.48 英語版 Ed.42
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■ 北川健次 KITAGAWA Kenji 略歴
1952年福井県生まれ。74年、多摩美術大学大学院美術研究科修了。在学中に駒井哲郎に銅版画を学び、棟方志功・池田満寿夫の推挽を得て作家活動を開始。75年、現代日本美術展ブリヂストン美術館賞受賞、76年、東京国際版画ビエンナーレ展(東京国立近代美術館)、81年、リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展招待作品。89年より「箱」を主題に立体表現も展開。90年、文化庁派遣芸術家在外研修員として渡欧し六ヶ国を巡る。93年、来日したクリストよりオブジェ作品が高い評価を得るなど、わが国の銅版画とオブジェの分野における第一人者的存在。版画、油彩画、オブジェの他に写真、詩、美術評論も手がける。鋭い詩的感性と卓越した意匠性を駆使した作品は美術の分野において独自の位置を占めている。著書に『「モナ・リザ」ミステリー』(新潮社)『死のある風景』(久世光彦との共著・新潮社)他
パブリックコレクション
東京都現代美術館・ブリヂストン美術館・神奈川県立近代美術館・東京都美術館・埼玉県立近代美術館・栃木県立美術館・うらわ美術館・町田市立国際版画美術館・福井県立美術館・和歌山県立近代美術館・徳島県立近代美術館・宮崎県立美術館・熊本市現代美術館・大分県立芸術会館・渋谷区立松涛美術館・他
以上
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『Elementー回廊を逃れてゆくアポロニオスの円』
北川健次版画集 刊行記念
会期/2007年6月16日(土)〜7月1日(日)
11:00am〜7:00pm 休廊:6/20(水),27(水)
会場/あーとらんど ギャラリー 1Fギャラリー
出品/銅版画、インクジェット写真‥‥‥ 26 点
あーとらんど ギャラリーでは、北川健次さんの銅版画の展覧会を開催致します。北川さんは、福井県に生まれ、現在東京を拠点に活動しています。
今回の個展は、版画集『Elementー回廊を逃れてゆくアポロニオスの円』(銅版画8点 タトゥ入り、他にタイトル1点)の刊行を記念して開かれます。この版画集の刊行に関して北川さん自身の書かれた文章を以下に紹介します。
「版画 ー 2次元のオブジェの可能性を求めて」
(文章:北川健次)
今秋、パリの出版社から詩人のアルチュール・ランボーをモチーフとした美術作品について論考した研究書が『Le regard bleu dォArthur Rimbaud』というタイトルで刊行されるが、その中に、私の版画集に収めた二点の銅版画も掲載されることになった。
テクストの対象となる美術家は私の他に、ピカソ、ブラック、ジャコメッティ、マックス・エルンスト、ジャン・コクトー、メイプルソープといった個性的な人選であるが、刊行に併せて二〇〇八年三月まで美術館での刊行記念展も開催される予定になっている。日本語版と同時に海外でもその質を問うべく版画集の英語版(および仏語版)を刊行してきたが、二年前に実現した、版画のイメージの舞台となったパリのパサージュでの実験的な展示に続き、今回のような形となって評価されてきている事は、版画集に独自な表現の可能性を求め続けている私にとって、さらなる意欲へと高まっていくものがある。
さて、今回の版画集は八点の銅版画から成り立っている。私の内なるオブセッションを、幾何学的図形に投影し、内なるイメージの深層を立ち上がらせてみようというのがテーマである。舞踏家をモデルとした実際の写真撮影から制作が始まり、私が今まで培ってきた方法論と対置させ、それらを等価値に取り込んで、八面体の幻視的な装置のように配置を試みてみた。
版画にしか出来ない表現の可能性の一つに「版画集」という存在がある。駒井哲郎や池田満寿夫といった60年代の版画の旗手たちの時代に比べ、昨今はこの可能性に挑戦しようとする作り手は少なくなってしまったが、私はこの実験性にみちたスリリングな構造の中で「二次元のオブジェ」としての版画の意味を確立しようと思っている。「版画集」ーそれは私にとって限りない可能性を秘めた、詩想と謎を搦め捕るための危うい装置なのである。
(以上)
今回の展覧会では、版画集『Elementー回廊を逃れてゆくアポロニオスの円』に収蔵されている銅版画8点およびタイトル1点に、版画集制作のベースとなった2000枚近い撮影写真の中から選ばれたインクジェット写真17点を添え、更に既に絶版になっている銅版画「フランツ カフカ」を加えて、全27点出品致します。
希代の境地を開拓する才能が世に送り出す「2次元のオブジェ」を是非お楽しみいただきますようご案内申し上げます。
尚、本版画集には、当初、詩1点が組み込まれる予定でしたが、都合により割愛されました。
敬具
(文責:山下高志)
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