中川幸夫展情報/会期中 No.1 / No.2
文責 : 山下高志(あーとらんどギャラリー)
・2004年9月30日(木)
中川幸夫さんが、ほぼ完了した展示会場の状況を見にギャラリーへお越しになられました。階段の多い会場の中は、中川さんにとっては移動しにくい場所ですがゆっくりと一巡された後、展示のご感想をいただきました。
「もう少し遊ぶといいね」と笑顔で切り出され、短時間でしたがいろいろお話を伺うことが出来ました。展覧会図録「はながらす」の外表紙に、中川さん自身の筆で「名人危所遊」と書かれている通りのお言葉でしたが、凡人のギャラリストには「名人の作品で遊ぶなんて」と言葉をかえすと、「どんどんやればいいんだよ」をおっしゃっていただきました。
それではと一晩寝て明日何とかしようと、たいそれた考えにひたっているのですが、本当にどうなるのでしょうか?
・2004年10月1日(金)
一晩寝て考えたこと、それは中川幸夫展の「書」の展示に一つの隠し味を仕込んでみることでした。通常作品を並べるときに考えるのは、作品同士がケンカをしないように、それぞれの作品がいきるような最適な配置を検討します。
しかし、「書」で、しかも1字の作品を並べるとき、前述のような考え方はあまり有効ではありません。そこで考えたのが、物語を作ることでした。文字には意味があるのでそれを最大限に有効にしようというわけです。春、花、嵐、葩、花、華、花変化。こう並べてみるともうおわかりでしょう。「春」に「花」が咲き、きままな「嵐」で花が散って「葩(はなびら)」に変容。かすれた字の「花」と最もはなやかな見える「華」の「花変化」、というわけです。単なるこじつけのようなものですが、意味を考慮しない全くバラバラな配置より見やすいのではと思っています。
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このような下地をこしらえていたところで、中川幸夫さんが中川幸夫事務所の新居義久(写真家)さんと高橋章(写真家)さんに案内されて下見に来られたというわけです。勿論このような並べ方をしているなどとは誰にも、勿論作家にもお話はしておりませんので、画廊の隠し味(と、私はよんでいますが)は知る由がありません。
そのような状況で作家から「もう少し遊ぶといいね」と言われましたので、勢いづいて写真のように、「嵐」を「あらし」らしく斜めに傾け、その嵐の元で舞うはなびらに合わせて「葩」を逆の方向に傾けてはしゃいでみました。
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