<美術家の文章>
個展に寄せる言葉 高木俊宏
私にとっての美術表現は自分というフィルターを通した小さな現実の投影です。何気ない日常の中で語りかけてくる風物、その暗喩にとんだ魅力的で興味深い姿を伝えるために色彩や形など表現要素を問い直しながら、表現しています。
ペインティングの作品はアクリル絵の具と岩絵の具を使います。最近2,3年は特に鉛筆によるドローイングに興味を持って取り組んでいます。最も身近で素朴な画材によって対象物のもつ豊かな表情をよりストレートに伝えたいと思っています。
美術史の中で特に興味を持っているのは南画です。特に池大雅の作品に見られる表現の簡略化と記号性は絵画の咀嚼方法として理想的であると感じています。今回、私のペインティング作品に円やドットを中心に構成した連作がありますが、南画の表現に啓発された面も少なくありません。
以上
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